IDCFが主催するITイベント、「サバフェス!」をご存じでしょうか?3月に行われた第3回大会は「健康」×IoTをテーマにしたハッカソン。そちらで、抜群の存在感を放ち圧倒的な支持を得て優勝、さらには2社のスポンサー賞を獲得したのがおおさき温泉同好会チームです。今回は、その優勝作品の事業化に向けて動いているというお話を聞き、インタビューをさせていただきました!
第3回サバフェス優勝チーム :おおさき温泉同好会
―腕試し先に選んだ「サバフェス!」温泉に浸かったからこそ見えてきた景色
IDCF: 先日は、「サバフェス!」にご参加いただきありがとうございました!また優勝おめでとうございます。そもそも「サバフェス」ご参加いただいたのはどういうきっかけだったのでしょうか?
おおさき温泉同好会(以下おおさき):ありがとうございます。参加のきっかけは一言でいうと、我々チームの腕試し、武者修行的な感じです。僕らはフューチャーアーキテクトという会社で、今年の1月に立ち上がったばかりの新規事業を創造する部署に所属しているのですが、「ITとアイディアを活用して新しいものを創り出す」というのを看板にする以上、実績が欲しいよねという話になったんです。ハッカソンで優勝というのは実績にもなるし、自分たちの力量を試すいい場でもあると思ったので、ハッカソンのまとめサイトで情報収集して、初めて参加したのがサバフェスです。
IDCF:数あるハッカソンの中で、なぜ「サバフェス!」を選んでいただいたんでしょうか?
おおさき: まず、おもしろそうかそうじゃないかという基準で振り分けて(笑)。IoTは僕たちも注目している分野で社内にエンジニアもいますし、健康もおもしろそうだし。プラス、自分たちの実力をアピールするのであればなるべくレベルの高そうな、難しそうなハッカソンがいいかなと思いました。
IDCF:おぉ~光栄です。優勝作品「風呂イト」は、温浴施設で必ずといっていいほどつけるリストバンド型ロッカーキーに脈拍センサーと温度センサーをつけて、連携したスマホのアプリで効能を可視化するものとお聞きしましたが、アイディア出しも社内ではなく温泉で行ったとか。
おおさき: はい。アイディアはどうしたら出るか?というのは方法論として常々考えていることなんですが、当社では「会議室でいいアイディアは生れない」というのは定説になってまして。普段から集中して何かを考える時は、カフェとか公園とか、外部の刺激があるところでやってますね。 状況観察とか、自分ごととして落とし込むには温泉に浸かりながらじゃないと見えない景色があるんじゃないかという仮説の元、みんなでとある温泉施設に向かいました。ちょっとおしゃれな施設を選んでしまったせいで、女子大生グループや若いカップルだらけで、外部の刺激がありすぎて思いの他集中できなかったんですが(笑)。でも、やはり、ロッカーキーにセンサーを内蔵するという方法は現地に行かないと出なかったものだと思います。
↑こちらが「風呂イト」。一見、誰もがつけたことのある温浴施設のリストバンド
↓中身はこうなってます・・!
IDCF:温泉に唯一つけて入れるもの、しかも全員がつけているものですものね。
おおさき:もう一つ、温泉に浸かりながら思ったのは、温泉に浸かってる時って、気持ちいいな~以外の事ってあんまり考えないじゃないですか。でも、それだけじゃなくて新たな体験もできたら面白いんじゃないかなと。健康が目的となって温泉に行く人が増えたら、社会的にも意味のあることになるんじゃないかと考えました。
―テーマは「健康」のはず!?ボーダーラインを超えていくために犠牲にしたもの
IDCF:身近で共感できる。というだけでなく、社会的な価値やビジネス的な発展を考えられていた点も評価のポイントだったんでしょうね。苦労された点はありましたか?
おおさき:風呂イト端末の構築は非常に難関でした。そもそも、IT機器にとって温泉という場所は「非常に劣悪な環境」といえます。水に濡れることが前提なので、完全防水が求められますし、高い温度にさらされることで故障や誤作動の恐れもあります。さらに水質も酸やアルカリ性など様々で人間にとってうれしい温泉の効能は、IT機器にとってはまったく嬉しくないモノでした。普通ならばチャレンジしないかも知れない。でも、Futureは、「ITの原理原則」を追求してきた会社。自分たちの技術力を信じて、無いものは作ろうの精神で作り上げました。結果、やったことないけど、とにかくやってという無茶ぶりも多発したのですが(笑)。
見た目も美しく完成度の高いアプリ。消費カロリーや効能が一目でわかります。
おおさき:「優勝」という目的があったので、最初に設定したボーダーラインからさらにもう一段階超えていく、というのを全てにおいて意識していました。アイディアもこれだったら優勝できる!と確信が持てるものになるまで、もう一捻り・・と粘ったので、最終的にまとまったのは大会前日。プレゼンの前にどうしても実地検証をしたかったので、会社近くの温浴施設が閉まる当日朝8時までに間に合うように必死で作りました。健康がテーマのハッカソンでこんなに寝不足で不健康になっていいのかという思いを抱きつつ・・・(笑)。
IDCF: なんかすみません (笑) ボーダーラインを超えていく、というのが作品の完成度の高さに繫がったのでしょうね。 皆さんの頑張りの甲斐あって、無事に実地検証もできたんですよね?
おおさき:はい。7時半くらいに滑り込みました。ラズベリーパイやスマホを持ち込んだので、閉店間際にこそこそしている怪しい人達だったと思います。検証組としてお風呂に行ったメンバー二人は、検証ついでにまあひとっ風呂浴びてさっぱりしてきたので、帰ってきた際に夜通し作り続けていたメンバーとの間に大きな溝ができた瞬間でもありました。
IDCF:(笑)。「風呂イト」のコンセプト、完成度の素晴らしさはさることながら、プレゼンも凝ってましたよね。実際に体験ブースを作ったり、さらには衣装も温泉をテーマにした某映画を彷彿とさせる・・・。
おおさき:ありがとうございます。勝つために全てのフェーズでこだわりました。ちなみに今回の経費で一番高くついたのはあの衣装で8000円くらいしました(笑)。
―いただきました「サバフェスに出てよかった!」すべてはここから始まる!
IDCF:サバフェス優勝されて反応はいかがでしたか?
おおさき:実はサバフェスの後、このチームでまた別のハッカソンに出場したのですが、そこでも優勝できたんです。2つのハッカソンで優勝したことで全社的に報告されたので、まずは社内が、このチームやるね!という雰囲気になりました。その後メディアからもいくつか取材依頼があって。
もともと「風呂イト」はサバフェスで勝つためには?を考えて作った作品なので、製品化とか事業化などはあまり意識していなかったんですが、優勝して拡散されたことで、「風呂イト」欲しい、作らないの?っていう声をけっこうもらったので、あ、もしかして事業化いけるんじゃない?という事になり、実際事業化に向けて動き出したところです。
IDCF: そうなんですね!サバフェスから新しい事業が生まれるかもしれないんですね。
おおさき:はい。僕らのチームとしても、「風呂イト」が事業化第一号となるかもしれません!そういう意味でもサバフェスに出場してよかったです!
IDCF: ありがとうございます。素晴らしいフレーズいただきました(笑)!
おおさき:今はいくつかの施設に「風呂イト」の導入をアプローチしていて、おもしろそうと興味を示していただいています。温浴施設などの事業者向けと並行して、個人ユーザー向けの製品も考えています。
よく0を1にするか、1を10にするか、といった話がありますが、僕たちは0から1を産み出すことにこだわっています。まさに「風呂イト」もそうですが、新しいサービスやプロダクトを世に送り出していきたいです。そういうチームであり会社でありたい。
アイディアを産む方法論も磨いていきたいので、引き続きハッカソンにもどんどん出場して、勝ちにいきますよ!
IDCF: 「風呂イト」の事業化もハッカソンの優勝記録も楽しみにしています!ありがとうございました!
今回お話をお伺いしたのは、おおさき温泉同好会の清田さん、堀内さん、石井さん(写真左から)です。
「風呂イト」の詳細はこちらでどうぞ。 フューチャーアーキテクトTechブログ ハッカソン道中記~あの日入った温泉の効果を僕はまだ知らない~