前編(だいぶ間が空いてしまいました (;^_^ )では、北九州データセンターで最初に採用した外気空調の仕組みや、電力系の設備についてご紹介しました。中編の今回は、いよいよサーバールームの中に入ってご案内していきます。
2008年に1号棟で最初に導入した外気空調では、空調の効率を上げるために外から涼しい空気を取り入れ、空調機の吸入部分で混合しています。あわせて、サーバールーム内では空調機から送られる冷気と、サーバーから排熱される暖気が混ざってしまわないよう、ラック内のサーバーは吸気側と排気側を揃え、かつラック列ごとに向い合せで吸排気が同じになるようにしています。
次の図のように、冷気を吸い込む側(コールドアイル)と暖気を吐き出す側(ホットアイル)に分離する訳ですが、ただ単に揃えただけではフロア内で冷気と暖気が混ざってしまうので、どちらか一方を物理的に囲うことで空調の効率をあげています。この冷熱分離の仕組みは空調の効率を高めることができるため、北九州データセンターに限らず、当社の新宿データセンターなどでも採用されています。
次の写真では、右に見えるラック列の一番手前がコールドアイルで冷気が床下から吹き出すようになっています。その奥のホットアイルは床から天井までが覆われており、サーバーの排熱は冷気と混ざることなく天井へ吸い込まれ空調機まで戻っていきます。
また、左に見える空調機(データセンター専用のもの)は、天井から戻ってくる暖気と外から導入する冷気を混合するため、サーバールーム側からは本体を覆い隙間がでないように施工しています。
床下および天井は、送風抵抗を減らすために1000mmの高さを確保しています。低すぎずまた闇雲に高すぎずのこれがベストな高さなのですが、ご見学の方にも実際にご覧いただけるよう、一部を強化ガラスで施工しています。
こちらが天井側で、
こちらが床下側です。
データセンターで使われる空調機(パッケージ空調などと呼ばれます)は、家庭用のルームエアコンなどと基本的に構造は同じなのですが、もっとも大きな違いは冷房の能力です。サーバールームには沢山のサーバーの排熱を冷却できる能力を持った大型の空調機が何台も設置されており、屋外には室外機も設置されています。
次の写真は、その屋外の室外機に散水をしているところです。室外機は空気で冷却をするために車のラジエーターと同じような仕組みを持っていますが、アルミのフィン構造の部分へ直接水を吹きかけることで室外機の効率を上げています。
北九州データセンターでは夏の気温が高いときは、工業用水を用いて室外機への散水を行っています。この散水によって空調機の効率を上げることができるのです。
2014年は天候不順で気温が低かったため、散水による削減率も低めとなりましたが、それでも空調の電力量の3.3%を削減できました。このような小さな努力の積み重ねが、トータルでデータセンターでの使用電力を減らすことにつながります。設備担当者の工夫のしどころのひとつです。
さて、ここまでで北九州データセンターの1~4号棟の外気空調の仕組みについてご紹介してきました。次回は4号棟の奥にそびえ立つ、最新の5号棟の外気空調についてご案内したいと思います。